【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】限定特典と割引が充実!
『愛から一番遠い場所』が好きでたまらなかったせきとう先生の新刊、
楽しみに待っていました…!
こちらの新刊も、期待を裏切らない仄暗さ、エモさ。
表紙のピンクと緑に浮き上がった二人の姿も印象的で、
インパクトがあります。
(※途中強姦シーンがありますので、苦手な方、ご注意ください;)
昔”ホモ”だからーと虐めていた同級生に、
ヤクザに連れて行かれた先のニューハーフクラブで再会。
その後彼に弱みを握られ、自分の”奴隷”になって働け、と命じられて…
と始まるお話です。
もーーーーページ開いて最初の虐めのシーンから、
攻め・圭哉(けいや)がクズすぎてドン引きなんです。
ヤクザのパシリとしてクスリの売り上げをピンハネしてたりとか、
再会後の鯉川(受)に平気でヘラヘラ声をかけて
謝罪にもなってない言葉をかけたりとか。
その後も抵抗する鯉川を押さえつけて無理やり抱いて…
もう到底、好感度上がりようもないよね!?
誰かに(タツミさんにでも)こてんぱんにやられて叩きのめされてくれ!!
なんて思うんですが、
ここからの圭哉の内面の解かれ方、変化のありようが素晴らしくて。
タツミさんの語る辛い”過去”と、
「男を好きだとか 女を好きだとか そんなもので変わるものはない」
という言葉。
そして鯉川の語る
「俺たちなは何も”特別”な人間じゃない」
「冷たくされれば傷つくし 優しくされれば嬉しい」
(↑すみません、ちょっとうろ覚えで正確ではないかも;)
という言葉。
それぞれの言葉の重みが、刺さります。
そしてそう感じたのは読んでいる自分だけでなく、
圭哉も同じで…
「ありがとうございました」とタツミさんに頭を下げる圭哉、
そしてクラブで初めてきちんと自分から挨拶をし、
「悪かった」と謝りに行く姿。
彼が高校時代に鯉川に対してやったことは、
決して許されることではない。
だけど、自分が間違っていた、と気付きそれを恥ずかしいと思い、
やっと(本当に”やっと”だけど!)素直に過ちを認め、
変わろうとする圭哉のことはとても憎めず、
その不器用さがだんだん愛おしく(可愛く?)思えてきました。
そこで挟まれる高校時代の圭哉と鯉川のエピソードもまた、
良いんですよね..
突き指した鯉川にいち早く気付く圭哉。
無意識下でものすごく鯉川に惹かれ、”恋”しているわけなんですが
友人たちに”デキてる”とからかわれたことでカッとなり、
そこから異常なほどの暴力が始まる…
青さ・未熟さゆえに自分の本心に向き合えなかった
圭哉の弱さが痛々しく、切ない。。
終盤、そんな圭哉が頭を黒く染め、
土下座して頭を地面に擦り付けて鯉川に謝罪し
想いを告げるシーン。心震えました。
再会し、これは復讐するチャンスだー
と思っていた鯉川だけど、
作るごはんが美味しくて、不器用な自分に代わりドレスを直してくれて、
クイーン(鯉川の働く店)で意外と真面目に仕事に取り組んで…という圭哉の姿に
高校時代、優しかった圭哉の姿が思い出され重なって。。
本当に酷いことをした圭哉だけれど、
その根本にある部分、不器用な優しさや真面目さは変わっていなかったんだな、
と読みながら自分もおおいに絆されてました。
紆余曲折の末、やっと心が重なった二人。
鯉川の誕生日に圭哉が一生懸命準備したプレゼント、最高すぎんか!!
泣けてしまう( ; ; )
紆余曲折を経て…の光あるラストにたまらなくグッときました。
そしてまた、「さよなら、あの日の服従」というタイトルも素晴らしいな、と。
高校時代と再会後とで逆転する主従関係。
そこに「さよなら」を告げ、新たに始まる二人の関係に胸が熱くなる物語でした。
個人的一押しキャラ・タツミさん主役の番外編なんかも、
ぜひぜひ見てみたい…!
と、こちらで希望をそっと呟いてみます。
★修正:tn白抜き(電子シーモア)